篠笛(オカリナ)二本による



<「ねむれねむれ猫ん子」>



〜 宮崎県の子守唄集 〜




○  一の木二の木(宮崎県東臼杵郡椎葉村小崎)


一の木二の木 三の木さくら

五葉松 柳 柳の木には

とんびも止まる カラスも止まる

ひだるさじゃろばい ひだるけりゃ田作れ




○  いやだいやだよ(宮崎県串間市笠祇)


いやだいやだよ 泣く子の守りは

子からせつかれ 親からがられ

世間の人から にらまれる




○  雨の降る日と(宮崎県延岡市野浦)


雨の降る日と 日の暮れぐれにゃ

親の在所がなつかしや ハーヨイヨイ

この子泣かんちゅうて わしゃ守り来たが

いつも泣きべす 泣き暮らす ハーヨイヨイ




○  むかえの原に(宮崎県西米良村村所)


むかえの原に 鹿が鳴く さびしゅて鳴くか 妻呼ぶか

さびしゅて泣かぬ 妻呼ばぬ 明日はこの山 狩りがある

ここらは狭まし 子は多し 逃げよとすれば 子が惜しゅし

助けたまえよ 山の神 助けたもうた お礼には

四角四面の 堂建てて 石の燈籠に 灯を明かす




○  ええ子じゃろ(宮崎県東臼杵郡諸塚村)


眠れ眠れ猫の子よ だんまれだんまれ だんまの子

うっつけうっつけ牛の子 すやすや眠れ ええ子じゃろ

ほらほら眠れ ええ子じゃろ




○  ちにれちにれ(宮崎県北諸県郡山之口町)


ちにれちにれ ちにれちにれ ちにれちにれ

わんわんさんが来っど ちにれちにれ

よかどよかど ちにれちにれ




○  さるけさるけ猿の子(宮崎県西都市穂北)


さるけさるけ猿の子 うっつけうっつけ牛の子

眠れ眠れ猫の子 うちのとめちゃんが ねんねすると

ぼちもだんごも 搗いてやる ほらほらお山の 雉の鳥

猫から追われて とられたど




○  よい子よい子いうて(宮崎県日南市細田)


よい子よい子いうて 眠らん子は

びんたにてこぶし当ててやる

眠れ眠れ猫の子 うっつけうっつけ牛の子

ねんねこいうて 眠らずに

起きたらおかめが とってかも




○  狩人の子守唄(宮崎県西都市銀鏡)


眠れ眠れ猫の子 うっつけうっつけ牛の子

走れ走れ狩人 秋のししゃとれんど




○  福島地方の子守唄(宮崎県福島町)


眠れ眠れ猫ん子 うっつけうっつけ牛の子

ちにれちにれ ちんの子




○  早く来りゃよい(宮崎県東臼杵郡北方町)


早く来りゃよい 正月盆が

来たらわがしょへ 帰るぞよ

帰っておかあさんの 顔を見る




○  鳩ととんびと(宮崎県西都市米良村)


鳩とトンビと 雉とツバメと 鶯と

かりがねの鳴き声は かりがねの鳴き声は

ピーピピーヒョロリンケンクークク

ピーヒョロリンケンケンとケンチャクチャクと

チャーチクツングルリンとホーホケキョ

イッチンニッチン トッチントンチャク

ツングリマングリ ホーホホ








○  松の木十本(詞:若山牧水 曲:弘田龍太郎)


松の木十本二十本 百本千本一万本

ぽんぽん上がるは 上げ花火

上がってはじめて 下り龍 龍のいるのは 富士の山

富士の山から 下見れば 三保ノ松原 田子の松

松の木十本二十本 百本千本一万本

ポンポン叱って 下さるな



若山牧水(1885円〜1928年)は、宮崎県東臼杵郡坪谷で生まれた。

1920年、沼津の自然を愛し、特に千本松原の景観に魅せられて

一家をあげて沼津に移住した。