< 巡拝御詠歌 >


〜 古月禅師の佐土原三十三ヶ寺 〜




一、補陀落や松の巌間に打つ波の 御教の響き高き山下 (松巌寺)


二、極楽の蓮のうてなに法の道 未来をかけて頼む曼陀羅 (曼陀羅寺)


三、元よりも立てし誓の頼もしき 思いをはらう弥陀の浄土に (誓念寺)


四、来て見れば黄金花咲く柏寺 御法を歌う山ほととぎす (金柏寺)


五、谷深く又峰高き山の朝 のあらしにも波羅蜜の声 (深俣寺)


六、色恋も忘るる旅路の疲れとも いこふ庵の梅の下露 (憩梅庵)


七、たらたらと落ちる岩間のかけひ水 これも誓いの深き谷川 (多楽院)


八、天の原寿き永き法の寺 松の嵐も清き谷水 (自得寺)


九、新山の嵐も琴の音も 御法をうたうおぼろ夜の月 (新山寺)


十、天ヶ下栄えし御寺の庭の尾も 松の嵐も近き極楽 (天昌寺)


十一、植え置きし松の嵐も高き峰 参る人こそ頼もしきかな (城山寺)


十二、正しくも尋ね来て見る龍田川 迷いの塵を洗う滝津瀬 (正龍寺)


十三、一里坂足どり早く川越して 補陀落山に参る下村 (観音堂)


十四、松原や月の出し間に嵐吹く 御法の舟に乗りて住む寺 (松月寺)


十五、かけしより共に誓の鐘の音に 枕の夢を照らす月影 (平等寺)


十六、西の海照らす仏の御名の 号後のたのみも有明の月 (称名寺)


十七、八す葉の掌に照る月の影 もろともに帰る極楽 (蓮台寺)


十八、湧き出づる法の宝の泉寺 末の世までも利益残せり (宝泉寺)


十九、万代の歳重なりて富める寺 昔も今も栄えぬるかな (富蔵寺)


二十、里過ぎて山路を登る雨の空 久峰よりもはるる薄雲 (久峰寺)


二十一、面影を映して見れば水山の 出入りの舟も誓なるらん (本地堂)


二十二、徳深し御法の伝うこの寺に 峰棲む月の影のさやけん (伝宗寺)


二十三、御仏の誓いも深き柏寺 栄へも久し庭の松風 (柏樹寺)


二十四、法の道山里越えて常楽の 永くも来る後の世の為 (常楽寺)


二十五、とくとくと落ちる清水の音聞けば 迷いの夢を醒ますこの寺 (徳昌寺)


二十六、千歳ふる峰の松風音添えて 那智の御山うつす池の水 (東禅寺)


二十七、法の道絶えせぬ空の青雲の 光導く誓いなるらん (法光寺)


二十八、幾歳の絶えせぬ森の田中寺 南無の光は今も昔も (田中寺)


二十九、杖頼む旅路も今は程遠く 佐賀利の里を照らす月影 (瑞光院)


三十、はるばると東の海に出でし間の 月の光に登るこの寺 (天福寺)


三十一、千代かけし仏の日陰大光寺 昔を知らす峰の松風 (大光寺


三十二、その昔葦の一葉に法の舟 清水池に澄める月影 (祖航庵)


三十三、葦も木も仏になると後の世を うちおさめぬる数珠の庵 (妙珠庵)





<古月禅師>


<いろは歌>


<戯曲「古月禅師」>


<大光寺資料館>