< 伝承 ことわざ >
< いろはたとえ双六 >
朝起きは三文の徳
朝早く起きればなにがしかの利益がある。早起きは三文の徳。
頭隠して尻隠さず
一部の欠点や悪事だけを隠して、全部隠したと思い込んでいる。
当たるも八卦当たらぬも八卦
占いは当たることもあれば、はずれることもある。それほど気にすることはない。
痘痕も靨
恋する者には、痘痕(あばた)でもかわいいに靨(えくぼ)に見える。ひいき目には、なんでもよく見える。
虻蜂取らず
二つのものを両方とも得ようとすると結局どちらも手にはいらなくなる。欲張りすぎて損をする。
阿保につける薬はない
ばか者を教え導く方法はない。ばか者に対してあきらめていう。
雨降って地固まる
ごたごたが起ったために、かえってものごとが落ち着きおさまる。
案ずるより生むが易し
ものごとは、いざ実行してみると、前もって心配していたほどむずかしいものではない。取り越し苦労はやめたほうがよい。
石の上にも三年
石のような冷たいものの上にも三年すわり続ければ暖まる。万事辛抱強くやれば、道が開けてくる。
急がば回れ
急いで事をしようとするときは、危険な近道をせず、遠回りでも着実な方法に従った方が、かえって早く正確に達することができる。
一を聞いて十を知る
ものごとの一端を聞いただけでその全体を悟るほど、理解が早い。
一寸先は闇
将来のことは、まったく予知できない。
一寸の虫にも五分の魂
小さく弱いものにも、それなりの思慮や意地があるから、ばかにはできない。
犬も歩けば棒に当たる
出歩いていると思いがけない幸運を得ることがある。でしゃばると、とんだ災難に会う。
命あっての物種
なにごとをするにも命あってのうえにことだ。命は大切にしなければならぬ。
鰯の頭も信心から
どんなつまらないものでも、信ずる心があれば、ありがたく思われる。
陰徳あれば陽報あり
人に知られない善行をする者は必ず良い報いを受けるものだ。
嘘から出た実
最初はうそのつもりでいったことが、いつしか真実となって現れる。
嘘も方便
うそは悪徳だが、ものごとをうまく運ばせる手段として、ときには必要なこともある。
鵜の真似をする烏
羽の黒さが似ているからといって鵜の真似をして魚をとろうとするカラスは水に溺れる。自分の能力を考えず、むやみに人まねをする者は失敗する。
馬の耳に念仏
人の意見を聞こうとしない。わからない者には、どんなためになる話を聞かせても無駄だ。いくら言ってもなんの反応もない。
瓜の蔓に茄子はならぬ
平凡な親からすぐれた子は生まれない。血筋は争えないものである。
得手に帆をあぐ
待ち望んだ機会に乗じて勇躍して行動する。得意になって調子にのる。
海老で鯛を釣る
わずかな元手で大きな利益を得る。
縁なき衆生は渡し難し
仏の広大な知恵と慈悲をもってしても、進んで仏の教えに接しようとしない人々は済度しがたい。人の教えを聞き入れようとしない者は救うことができない。
縁は異なもの味なもの
男女の縁は常識をもって予測しがたく、不思議でもあり、おもしろくあるものだ。
老いては子に従え
年をとってからは万事子どもに任せてこれに従っていくのがよい。もと、幼い時には親に従え、嫁いでは夫に従え、に続く封健時代の女性道徳。
負うた子に教えられて浅瀬を渡る
自分より劣った者にかえって教えられ、啓発されることもある。
鬼の空念仏
本来無慈悲な者が、うわべだけ慈悲深そうにふるまう。
鬼の目にも涙
冷酷無慈悲な人でも、ときには情けに感じて慈悲を施すことがある。
鬼も十八番茶も出花
醜い女でも年頃になれば、その人なりに魅力が出て美しく見えるものだ。
溺れる者は藁をも掴む
危急の際には、どんな頼みにならないものにでも、たよろうとするものだ。
親の心子知らず
親の深い心も知らずに、こどもが勝手な振る舞いをする。
稼ぐに追い着く貧乏なし
いつも一生懸命働いていれば貧乏に苦しむことはない。
癩(かつたい)の瘡(かさ)うらみ
醜い者が少しでもよい者を見て、うらやむこと。どうにもならないぐちをこぼすこと。癩病患者が梅毒患者をうらやむことから。
勝って兜の緒を締めよ
戦いに勝っても油断するな。成功しても心を許さず用心深く今後に備えよ。
河童の川流れ
日常得意としていることでも油断をすると、ときには失敗を招くことがある。
禍福はあざなえる縄のごとし
幸福と禍は、より合わせた縄のように表裏一体のもので、今幸福でもいつ禍に襲われるかわからないものだ。
果報は寝て待て
幸福は人の力ではどうにもならぬものだから、あせらずに時期を待つがよい。
烏の行水
短時間にあわただしくすます入浴。
枯れ木も山の賑い
つまらないものでも、ないよりはましだ。
かわいい子には旅をさせよ
こどもがほんとうにかわいいなら、甘やかさず世の苦労を経験させたほうが将来のために良い。昔は交通が不便だったので、旅はつらいものであった。
聞いて極楽見て地獄
良いと聞き、実際に経験してみると、案に相違して悪いことばかりだ。
窮すれば通ず
行き詰ってどうにもならなくなると、かえって活路が見いだされる。
窮鼠猫を噛む
絶体絶命の立場に追い詰められて必死になれば、弱者がかえって強者を打ち破ることもある。
臭いものに蓋
悪事や醜悪な事実が漏れないように、間に合わせの手段で覆い隠す。
苦は楽の種
現在の苦労は、将来の安楽を得るための基となる。
苦しい時の神頼み
日常は神を信仰しない者でも、災難にあったり困ったりしたときは神に助けを求める。ふだんは寄りつかず、困ったときだけ助けをもともる。
君子危うきに近寄らず
徳のある人は身を慎むから、危険なことは最初からしようとしない。
芸は身を助く
身についた芸があれば、困窮したとき暮らしをたてていくのに役立つ。
後悔先に立たず
事が済んでしまってから悔やんでも取り返しがつかない。
郷に入っては郷に従え
人はその住んでいる土地の風俗・風習に従ってふるまうのが処世の道である。
弘法にも筆の誤り
どんな達人・名人でも、ときには失敗することがある。
紺屋の白袴
紺屋がふだん白い袴をはいていたことから、自分の専門のことでありながら、自分自身のことについてはなかなか顧みる余裕がないものだ。
虎穴に入らずんば虎子を得ず
危険を冒さなければ、立派な成果は上げられない。
子は三界の首枷(つかせ)
子を思う心のために、親は一生自由を束縛されるものだ。
転ばぬ先の杖
何事も失敗しないよう、前もって注意をしておくことが肝要だ。
先んずれば人を制す
人の機先を制してものごとを行えば、相手の気勢や計画をくじいて有利になる。
猿も木から落ちる
その道に優れた者でも、時には失敗することがある。
去る者は日日に疎し
死んだ者は日が経つにつれて忘れられる。親密な者でも遠く離れると、次第に親しさが薄れていく。
触らぬ神に祟りなし
関係しさえしなければ、その事によって災難を受けることはない。
三人寄れば文殊の知恵
愚かな者でも三人集まって相談すれば、良い智慧が出るものだ。文殊は知恵をつかさどる菩薩。
鹿を追う者は山を見ず
利益を得ることに夢中になっている者は、周囲の情勢に気がつかないものだ。
地獄の沙汰も金次第
公正厳格な地獄の裁判でさえ金を出せば有利に計らってもらえる。ましてこの世の中は万事金の力で左右されるものだ。
朱に交われば赤くなる
人は交際する友達によって善にも悪にも感化される。
知らぬが仏
何事も知らないでいれば腹も立たず平気でいられるものだ。
雀百まで踊り忘れず
幼い時に身につけた習慣は、年をとってもやめることができない。年をとっても道楽の癖が治らないことに多く言う。
急いては事を仕損じる
ものごとは、あせってやると失敗しがちなものだ。
千里の道も一歩より
遠路を行くにもまず第一歩から始まるように、大事業も手近なものごとから始まる。
袖摺り合うも多生の縁
道行く人、見知らぬ人と袖が触れ合うのも前世の因縁による。この世のちょっとしたできごとも、すべて前世からの因縁によるものだ。
備えあれば患いなし
いつも怠らず準備をしている者は、万一のことが起こっても心配しないですむ。
損して得取れ
目先のわずかな利益を考えず、将来の大きな利益を得ることを考えよ。
大欲は無欲に似たり
大きな望みを持つものは、小さな利益を顧みないから一見無欲のように見える。欲の深い者は欲に目がくらんで、かえって損失を招きやすく、無欲と同様の結果となる。
立つ鳥跡を濁さず
立ち去る者は、後が見苦しくないよう注意して始末すべきだ。
蓼食う虫も好き好き
辛いタデの葉を好んで食う虫もあるように、人の好みはさまざまなものだ。
棚から牡丹餅
思いがけない幸運にめぐり会う。
旅の恥は掻き捨て
旅先での恥は、知っている人もいないし、長くとどまっているわけでもないから、格別気にすることはない。
旅は道連れ世は情け
旅先では、道連れを得て互いに助け合うのが心強いように、世間を渡るにも、各人が思いやりの心を持って暮らすことが大切だ。
玉磨かざれば光なし
どんなに優れた天分・才能を持っていても、努力して学問・修養を積まなければ有用の人にはなれない。
塵も積もれば山となる
わずかなものでも数多く積み重なると高大なものになる。
月夜に釜を抜かれる
明るい月夜に、暮らしに大切な釜を盗まれる。ひどく油断していることのたとえ。
角を矯めて牛を殺す
小さな欠点を直そうとして、かえってそのもの全体をだめにしてしまう。
爪に火を点す
ろうそくの代わりに爪に火をともすほど、ひどくけちだ。
聾の早耳
つんぼは、ふだんは聞こえないのに悪口などはよく聞こえる。つんぼは聞こえないのに聞き取れたふりをして早合点する。
亭主の好きな赤烏帽子
たとえどんな異様なものでも、一家の主人の趣味とあれば、家の者はそれに同調しなければならないし、またするようになる。烏帽子は黒塗りが普通。
出る杭は打たれる
あまり人より優れている者は他人から憎まれがちだ。差し出た振る舞いをする者は、人から制裁を受ける。
灯台下暗し
身近なことは、かえってよくわからないものだ。
遠くの親戚より近くの他人
火急の場合には、遠くに住む親戚よりも近所に住む他人の方が頼みになる。
年寄りの冷や水
老人が、身のほどを考えない元気のよい行為をしたり、差し出た振る舞いをしたりする。
捕らぬ狸の皮算用
事がまだ実現するかどうかわからないうちから、あれこれと当てにする。
泥棒を見て縄を綯う
事が起こってから、あわてて用意をする。普段準備を怠っていて、いざというときに間に合わなくなる。
鳶が鷹を生む
凡庸な親が、すぐれてりっぱなこどもを産む。
長い物には巻かれろ
自分より力の強い者、権力のある者には抵抗せずに服従した方がよい。
泣く子と地頭には勝てぬ
泣いて駄々をこねる子には従うよりほかないと同様、横暴な権力者の無理には従うより他仕方がない。
情けは人の為ならず
他人に情けをかけておけば、めぐりめぐって必ず自分に良い報いが返ってくる。
怠け者の節句働き
普段怠けていると、世間の人が休む日に働かなければならない。休みの日に働くものを卑しめさげすんでいう。昔の村の生活では、祭りの日は村全体が休んで慎む日であった。
二階から目薬
まわり遠くてほとんど効果がない。思うように届かなくて、もどかしい。
憎まれっ子世に憚る
人から憎まれるような者が、かえって世間では幅をきかせ威勢を振るう。
二兎を追う者は一兎をも得ず
同時に二つのことをしようと欲を出すと、両方とも失敗する。
人間至る処青山有り
墳墓の地は故郷ばかりでなく社会のあらゆるところにある。男子は広い社会へ進出して大いに活動すべきである。
盗人の昼寝
盗人は夜仕事をするため昼の間は寝る。悪事の準備をする。
猫に小判
どんなに値打ちのある物でも、その価値のわからない人には何の役にも立たない。
能ある鷹は爪を隠す
ほんとうに実力のある人は、むやみにそれをひけらかすようなことはしない。
喉元過ぎれば熱さを忘れる
苦しい時が過ぎ去ってしまうと、その苦しさやその時受けた恩などはとかく忘れがちなものだ。
馬鹿と鋏は使いよう
切れない鋏でも使い方しだいで切れるように、馬鹿者でも使いようによっては役に立つこともある。
花より団子
風流より実利をとる。外観より内容を選ぶ。
贔屓の引き倒し
贔屓しすぎて、かえってその人を不利な目に合わせること。
庇を貸して母屋を取られる
一部の使用を許したため、やがて本拠まで占領される。恩をあだで返される。
膝とも談合
よくよく困ったとき相談相手がないと自分の膝でも相談の相手にする。どんな人でも相談すれば、それだけの利益がある。
人の振り見て我が振り直せ
他人の行動の善悪を見て自分の行動を反省し、欠点を改めよ。
人を呪わば穴二つ
人を呪って殺そうとすれば、自分もまた殺される。人を傷つけようとすると、自分もまた害を受けることになる。
人を見て法を説け
人それぞれ性格が異なるから、相手によって手段を変えなければうまくゆかない。
火のない所に煙は立たぬ
噂が立つには、多少なりとも何かよりどころがあるものだ。全然事実がなければ、噂は立たない。
瓢箪から駒
意外なところから意外な事実が現われる。冗談に言ったことが事実になる。道理上あるはずがない。
貧すれば鈍する
貧乏すると、利口な人でも愚鈍になる。
夫婦喧嘩は犬も食わぬ
夫婦喧嘩はたいていつまらぬことが原因で一時的なものだから、他人が仲裁に入るのは愚かなことだ。
屁を放って尻すぼめる
失礼した後で慌てて隠したり取り繕うこと。
仏の顔も三度
どんなに寛大な人でも、たびたび無法なことをされれば、ついには起こる。
蒔かぬ種は生えぬ
何もせぬのに利益を期待しても得られない。原因のないところに、結果のあるはずがない。
負けるが勝ち
一時的には相手に価値を譲っても、大きな目で見れば結局は有利な結果になる。
待てば海路の日和あり
我慢して気長に待っていれば、やがてよい時機もめぐってくる。
身から出た錆
自分が犯した悪行のために自分が苦しむ。
無理が通れば道理引っ込む
道理に外れたことが世の中に通用する時は、正しいことは行われなくなる。
めくら蛇におじず
恐ろしさを知らぬ無知なものは、どんな大胆なことでもする。
餅は餅屋
ものごとにはそれぞれ専門があって、専門家のすることにまちがいはない。
門前の小僧習わぬ経を読む
常に見聞きしていると、知らず知らずのうちに習熟するものだ。
安かろう悪かろう
値段の安いものは品物の質も悪い。物の値段はその品質に相応しているということ。
安物買いの銭失い
値段の安いものはそれに相応して質が粗悪だから、安いということだけで買うと結局損をする。
柳に雪折れなし
柔軟なものは剛直なものより、よくものごとに堪えることができる。
柳の下にいつも泥鰌は居おらぬ
一度まぐれ当たりの幸運を得たからといって、いつも同じ方法でそれが得られるものではない。
藪をつついて蛇を出す
しなくてもよいことをして、かえって災難を受ける。
闇夜の鉄砲
当たらないこと。効き目がないこと。目当てがないこと。防ぎようがないから恐ろしいこと。
油断大敵
注意を少しでも怠れば、思わぬ失敗を招くから、十分に気を付けるべきである。
葦の髄から天井を見る
細い葦の茎の管から天上をのぞいて見ても、全体を見ることができない。狭い自己の見聞に基づいて万事を判断しようとする。
夜目遠目笠の内
女の顔や姿が実際より美しく見える場合を三つ上げた言葉。
来年の事を言えば鬼が笑う
未来のことは予知することができない。
律義者の子沢山
まじめでよく働く者に子が多い。
類は友を呼ぶ
同じ趣味・傾向・主義を持つ者同士は自然に寄り集まるものだ。
瑠璃も玻璃も照らせば光る
物は異なるが光を受ければともに輝く。「瑠璃」は青色の宝石、「玻璃」は推奨、またはガラス。
良薬(れうやく)は口に苦し
良く効く薬は苦くて飲みにくい。良い忠告の言葉は聞くのがつらいが、身のためになる。
論語読みの論語知らず
書物の上の知識だけで、実行の伴わない人を、あざけっていうことば。
論より証拠
ものごとを明らかにするには議論するより証拠を出す方が早い。
我が身を抓って人の痛さを知れ
自分の苦痛に引き比べて他人の苦痛を思いやるべきだ。
渡る世間に鬼はない
世の中には無慈悲な人ばかりいるわけではなく、人情深い人もいる。
笑う門には福来る
笑い声の満ちた和やかな家庭には自然と幸運がやってくる。
割れ鍋に綴じ蓋
似通った者同士が夫婦になるのがふさわしい。どんな人にも、それ相応の配偶者はあるものだ。破損した鍋も、それにふさわしい蓋があるということから。